ソニーとフィリップスが次世代の音楽フォーマットとしてSACDを提案したとき、Direct Stream Digital(DSD)と呼ばれるまったく新しい方法でデジタル音源のエンコード方式を採用しました。しかし、当時ソニーが国内の研究開発ラボで製造した2チャンネルのDSDレコーダーは、ほんの一握りしか存在しませんでした。DSDの優れた音質を聞いたアーティスト、プロデューサー、エンジニアはすぐに、最初のダイレクト2トラックDSDレコーディングでこれらのプロトタイプレコーダーを使用すべく、長い行列を作ることになりました。マルチチャンネル録音の必要性に対処するために、オランダのPhilips Researchは、のちに巨大な8チャンネルのDSDレコーダーを作成しましたが、この時点でも、録音を完成したリリースマスターに編集するツールはありませんでした。

この問題を解決するため、米国のSACDの立ち上げチームは、サンフランシスコのマーケットエリアの西に位置する大規模なハイテク工業地域において、「スカンクワークス」として組織化することができる、最も輝かしいプロオーディオおよびソフトウェアに明るいエンジニア達を募集しました。その結果、サンフランシスコのチームは、2年足らずという短期間で世界で初めてDSD記録・編集システムを開発しました。この際、彼らがカリフォルニアの北部に本拠地を構えていたことから、このシステムは「Sonoma Workstation」と名付けられました。

Sonomaの伝統はワークステーションとして今日も続いています。SACD、さらに最近ではオンラインでリリースするハイレゾリューション・プロジェクトを記録することに使用され、世界中のアーティストが音質で他と差別化するために使われています。 Sonomaは、単一の製品または技術以上に、あらゆる形態の妥協のないオーディオ品質を追求しています。とどまるところを知らないオーディオ品質に対する探究が、Sonoma AcousticsのModel Oneヘッドフォン・システムの開発を推進しているのです。

MEET THE TEAM

DAVID H. KAWAKAMI – GENERAL MANAGER

デイビッド・カワカミは、ソニーでの長年のキャリアの中でも、ソニーのエンターテインメント事業、特にソニー・ミュージック、ソニー・ピクチャーズでの技術導入を専門としていました。 DVD-Videoの標準化作業を経て、純粋なオーディオ・アプリケーションのために、拡張されたDVDディスク容量を使用して達成できるものをすぐに探求しました。当時デイビッドは、それを発明した才能豊かな若手技術者である西尾文孝氏とのスーパービットマッピング(SBM)などの高解像度記録技術をすでに推進していました。SBMを米国スタジオに宣伝するという慌ただしい活動を経て、西尾氏は非常に高いサンプリングレートで1ビットのデルタシグマ変調を使用して、前例のない品質の音楽を録音するという考えを共有していきました。彼らはそれを「ワンビット」と呼び、デイビッドは音楽業界の「Golden Ear」からのフィードバックを得ることによって技術を洗練し、開発するのを助け続けました。

彼らが受け取った肯定的なフィードバックによって奨励され、ソニーはテクノロジーをDirect Stream Digital(DSD)に改名し、Philipsと合流してSuper Audio CD(SACD)のデジタルエンコーディング技術として提案しました。デイビッドは日本国外でのSACDの立ち上げを監督するように求められ、すぐに音楽業界やオーディオファイルに対するフォーマットを促進するために必要な才能を見つけることを決めました。彼の最初の雇用は、ソニーのプロオーディオ部門で働いていたガス・スキナスでした。その後フィリップスのSACDで働いていたデメリー博士が、米国に移った後、ソニーに加わりました。ハイレゾリューション・オーディオを再び盛り上げる機会がModel One Headphone Systemという形で再び現れたことから、デイビッドはすぐに彼に連絡し、同僚と一緒にもう一度働くことを提案しました。

Sonoma Acoustics LLCのマネージメントチームであるジョン・ギャリソンという、ソニーの同僚でもあり長年にわたるコンサルティング・パートナーでもある人物を加えたことで、Sonoma Acousticは妥協のないオーディオ品質を実現するSonomaの伝統を実現する夢の組織になっています。

JOHN GARRISON – SALES OPERATIONS MANAGER

ジョン・ギャリソンは、ソニー、AT&Tワイヤレス、アマゾン、サムスンのシニア・レベルの役職を経験することで得られた知識をもとに、Sonoma Acousticsのチームに幅広い販売、運営、管理の視点をもたらしました。

彼が関連する業績には販売および管理の監督業務が含まれ、結果サムスンの米国売上高は4倍の伸びを示し、アマゾンのワイヤレス販売プラットフォームをサポートするAmazon史上初のアウトソーシングされた物流関係が構築されました。

ジョンはワイヤレス事業のスタートアップであるGreatCallの事業開発リーダーとして、流通戦略、マルチチャネル販売ネットワークを担当し、新しいパートナーチャネルは2年間で8000万ドルの事業規模となりました。その後、高度成長企業におけるノウハウをもって、Johnは技術開業のためのビジネス開発サービスを提供するGarrison Group LLCを(パートナーのデイビッド・カワカミと)結成しました。

Garrison Groupのチームは、ベンチャーキャピタルを支援する技術起業家のためのビジネスプランニングと戦略的導入を行うほか、Sirius(衛星エンターテインメントサービス)の立ち上げのための基本的な製造関係を確立しました。現在、Sonoma Acousticsの設立メンバーとして、JohnはSonoma Acoustics, LLCの財務、販売、物流業務を監督することにより、Model One Headphone Systemの打ち上げに深い洞察をもたらしました。

GUS SKINAS – PRO AUDIO MARKETING MANAGER

プロフェッショナルオーディオの人々で、一度もガス・スキナスに会ったことがなく、また彼に助けたり、何かを学んだことがない、という人物はほとんどいないでしょう。ソニーとフィリップスが1982年にコンパクトディスクを発表したとき、ソニーはアーティスト、プロデューサー、レコーディングエンジニア、マスタリングエンジニアに、デジタルオーディオの勇敢な新しい世界をナビゲートする方法を教えるためにガスを担当に据えました。数年後、ソニーとフィリップスが再びスーパーオーディオCD(SACD)を導入するためにチームを組んだとき、ソニーはSADCベースの革命的なデジタル録音システムであるダイレクト・ストリーム・デジタル(DSD)を使用したレコーディングのメリットを前提としたコミュニティの育成をガスに求めました。ガスがDSDについて教えるために使用するツールは、Sonoma Workstationであり、サンフランシスコの秘密の「スカンク」で開発を支援したシステムです。ガスは、ワークステーションを開発しているエンジニアと実際に録音しようとしていた音楽プロフェッショナルとの共同作業によって、集中的な作業をこなしました。

2004年、ガスは米国コロラド州ボールダーにSACDリリースのための高音質音楽の制作にむけたSonoma Workstationの導入サポートのためのスーパーオーディオセンター(SAC)を設立しました。文字通り何千もの高音質の音楽を録音したことで、ガスはSonomaの名前を妥協のないオーディオ品質の追求と同義にしました。今日、Sonoma Acousticsの創立メンバーとして、ガスはSAC施設をModel One Headphone Systemのテストベッドとして使用しており、High-Res Audioの先駆者の一人となっています。

DR. ANDREW DEMERY – CONSUMER MARKETING MANAGER

ウェールズ出身のアンドリュー・デメリーは英国で教育を受け、1989年にWideband UHF Radio Propagationで博士号を取得しました。同年、Philips Electronicsによってスカウトされ、オランダに移住し、フィリップスリサーチ、別名「ナットラブ」に勤務しました。そこでは、新興のGSMデジタルセルラー通信システム内のパケットデータプロトコルに携わり、道路輸送テレマティクスに関連するアプリケーションを担当しました。

典型的なオーディオファイルである彼は、フィリップスがソニーとのSACDの開発と立ち上げに取り組むチームに参加することに興味があるかどうかを尋ねたときに、生涯の音楽に対する情熱を高解像度録音再生技術と結合させる機会に飛び込むこととなりました。彼のグループは、SACDのサラウンドサウンド機能を実演するために使用される世界初のマルチチャンネルDSDレコーディングを作成するために使用された実験的な8チャンネルDSDレコーダーを開発しました。 2001年にフィリップスを去って北カリフォルニアの婚約者のもとに移ったあと、ソニーは直ちにDemを雇用し、サンフランシスコに新たに形成されたSonoma Workstation開発プロジェクトのために働いてもらうこととしました。そこでは、ソニーの「スカンク」作業を担当する開発エンジニアとフィールド内のガス・スキナスの間で、できたばかりのワークステーションでハイレゾリューションの録音セッションを継続的にサポートしていました。

ガスと同様、ハイレゾリューションの録音・再生の両方に最適化されたオーディオシステムを構築することが目標である場合、デメリーは共同設計プロセスがどれほど価値のあることかを学びました。Sonoma Acousticsチームの創設メンバーとして、ハイレゾリューション・レコーディングの経験をModel Oneの設計に応用し、高音質な音楽鑑賞のためにあらゆる面で最適化できるよう尽力しています。

DAVID WALSTRA – REGIONAL MANAGER, EU

アムステルダムに拠点を置き、欧州のSonoma Acousticsのマネージメント業務を担当するデイビッド・ワルストラは、ハイレゾリューション・オーディオの普及にとって非の打ち所がない的確な人材です。オランダのChristine Hkeere Technische Schoolにてテレコミュニケーションとデジタル信号処理(DSP)の学位を取得したのち、オランダのアイントホーフェン大学でDSPの研究を開始しました。デイビッドの職位は、当時Philips Electronicsの音楽レーベルであったPolygram Internationalのオーディオ開発部門に所属するところから始まりました。この音楽制作事業をきっかけとして、彼はスイスに移り世界最高品質のアナログテープレコーディングシステムのメーカーであるWilly Studer AGのメンバーに加わりました。デイビッドはその後、英国のベイジングストークと日本の厚木にあるプロオーディオ部門で、ソニー株式会社に所属することになりました。

ソニーでの20年間のキャリアで、スーパーオーディオCD(SACD)やブルーレイディスク・フォーマットのヨーロッパでの業界標準化活動の先駆けを含む、プロの部門と消費者部門の両方で多くの職位を獲得しました。ヨーロッパでのSACDプロジェクトの長として、Sonoma WorkstationでSACDのタイトル制作をサポートしました。

2009年にソニーを去った後、デイビッドはベルギーのAuro Technologies NV、オランダのHiFiStreams BVのほか、日本のIIJ(インターネットイニシアティブジャパン)で開発された新しいDSDダウンロードサービスPrimeSeatのヨーロッパ代表として、ハイレゾリューション・オーディオの普及に引き続き積極的に取り組んでいます。 また、2012年以来、アムステルダムのUniversity of Applied Scienceにおいて国際ビジネスマネジメント学科のゲスト講師を務めています。